みんぱく(国立民族学博物館)★

年数回のペースで通い始めてから、もうかれこれ20年以上になるかもしれない。

万博公園の中にあるので、大阪に土地勘のある人はわかると思うが、「何かのついで」に行けるようなところではなく、「よっしゃ行くぞ」と気合をいれないとなかなか難しい。最近(とはいえ10年以上前だが)モノレールの駅もできたのだが、そこからも徒歩15分くらいかかる。

気候も良くて気持ちに余裕があるときは、途中の自然公園を楽しみつつ、妙にたくさんいるカラスが威張っているのを眺めたりしながら楽しく歩けるのだが、猛暑のときなどはちょっと厳しい。

しかし、そのくらいの苦労をかける価値は十分にあってお釣りがくる施設なのだ。今年(2011年)の3月にオセアニア展示がリニューアルされた後まだ訪れていなかったので、猛暑にもめげず行ってきた。

ハワイの生協の実物大展示などはどこかに行ってしまっていたが、全体にすっきりして見やすくなったという印象。フロアの床が巨大な太平洋地図になり、そこに立つと、目玉展示のチェチェメニ号(※1)が凛々しく見える。

展示品の中ではひときわ大きく人目を引くチェチェメニ号だが、全長は10メートル程度、幅は50センチくらいしかない。こんなカヌーが、足元に見える幅数千キロの太平洋を自在に航海していたことを考えると、それだけでちょっと感動してしまう。

たしか数年前にも『オセアニア大航海展』という企画展があり、これは同時期にオークランド(NZ)の国立博物館で開催されていた「Vaka Moana(※2) – The untold story of the world’s greatest exploration」という企画展示の日本語版だったのだが、そのときの『海の人類大移動』というキーワードをより明確に打ち出したような印象がある。

今年は、オセアニア展示のリニューアルとも絡めて、『夏のみんぱくフォーラム2011 どっぷりオセアニア』を開催中だ。7月から8月の週末に、フラやカヴァやマオリのイベントが続々開催されるらしい。できれば毎週でも通いたいくらいだが、そう都合よく出張を作れるものでもないので、ちょっと悲しい。

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※1:チェチェメニ号
ミクロネシアの片隅にサタワル島という小さな島があるのだが、21世紀の現代でも、GPSはもちろんのこと、羅針盤すら使わず、星や風や波を見て太平洋を航海する航海術(Star Navigationという)が伝えられている。ハワイの有名なホクレア号の航海士、マウ・ピアイルグもこの島の出身。チェチェメニ号は1975年、沖縄海洋博のためにサタワル島からStar Navigationで来日参加したアウトリガー・カヌー。その実物がみんぱくに展示されているのだ。

※2:Vaka Moana
直訳すると大洋のカヌー、というような意味。(たぶん、ほぼ全ポリネシアで共通の単語。)この年たまたまぼくはオークランドの国立博物館を訪れており、2か国でVaka Moanaを見た、という、つまらない自慢(笑)