流行禁句大賞2020

毎年発表される「流行語大賞」に対抗して、「言われたら嫌」な言葉や「誰かを傷つけてしまう」言葉など、2021年には持ち越したくない言葉をみんなで考える「#流行禁句大賞2020」(主催・一般社団法人21世紀学び研究所)が、事前に選ばれた20のフレーズに対して少し前から投票を呼び掛けていた。

今日28日がその発表日で、1位は「なんで鬼滅観てないの?」になったそうだが、これらの言葉を浴びせられたほうは「言葉による暴力」で深く傷ついたに違いないが、果たして言葉を発した側は単なる粗暴犯なんだろうか?

エントリーされていたフレーズを列挙してみると気が付くことがあったので書いてみる。

1)医療従事者の子どもは保育園通わせないで
2)俺は家事も育児もやっている方
3)今日も家にいるの?
4)介護士は休むな
5)こども部屋おじさんヤバい
6)ごめんしばらく帰省しないで
7)コロナにかかってごめんなさい
8)コロナにつき外国人お断り
9)コロナはただの風邪
10)女性はいくらでも嘘をつける
11)スポーツ選手は政治的発言をするな
12)他県のナンバープレート来んな
13)なんで鬼滅観てないの
14)日本には人種差別などない
15)誹謗中傷される方も悪い
16)夜の街は全店営業を停止しろ
17)リモート授業でラッキーだね
18)リモートワークはサボるから禁止
19)レズやゲイが法律で守られたら足立区は滅びる
20)若者がコロナを広げている

まず、コロナ関連のフレーズがやたらと多い。「コロナはただの風邪」という、某大統領のような迷惑発言も混じっているが、コロナに関しては総じて「自粛警察の人たちによる同調圧力系」のフレーズだ。コロナ以外のものについては、同調圧力系(鬼滅など)もあるが、「愚かな思い込み」を真実だと信じて堂々と発言した類いのものが多いようだ。

そして、すべてのフレーズに共通しているのは、発言した側が「自分が多数の側に立っている。自分には味方がたくさんいるはずだ」と思い込んでいるということではないだろうか?言い換えれば、「誰かを傷つけてやろう」という嗜虐的な喜びではなく、自分こそが正義なのだから、悪を懲らしめなければという(愚かで間違った)思い込み。

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また実際に、客観的に見て、そんな人たちが「本当に多数の側」にいることも滅多に無いというのも注目すべき点だ。

以前、「みんなという言葉の毒」でも書いたが、新幹線の車中で回りの迷惑なんか考えずに宴会に興じるサラリーマンの4人連れ。彼らの中では「みんな楽しくやってるんだから俺たちは間違ったことなんかしていない」という心境なんだろうが、そこでの「みんな」は、わずか4人だ。

とにかく多くの人は身の回りの数人が自分と同じ考え方だと「それこそが世界の標準だ」と思い込んでしまうようなのだ。コロナでタチが悪いのは、「身の回りの数人」に加えて、「マスコミ」や「為政者」が、「越境自粛」などという子供が考えてもわかりそうな馬鹿馬鹿しいルールを有難がったりしているものだから、「正義の味方」ぶりに拍車がかかっている。

「流行禁句」には大賛成だが、これが「言葉狩り」になってしまうと、今度は「言葉狩り自粛警察」が活動を始めて「アイツが『鬼滅を観てないの』とか言った~~」と、(鬼滅だけに)鬼の首でも取ったかのようにSNSで糾弾を始めるだけだろう。

わずか数人にしか過ぎない「みんな」が、あたかも「あなた以外の全員」というように使われて同調圧力が始まる。「みんな」とは具体的に誰と誰なのか?屁理屈ではなく、「みんな」という言葉に胡麻化されないことこそが、平和への第一歩ではないだろうか?

どうせ言葉狩りをするのであれば、「みんな」という、安易な同調圧力に直結する単語を日本語から撲滅させるしかないような気がする。